アメリカの労務

アメリカ飲食業の労務管理

こちらでは、アメリカ飲食店の労務管理について解説します。

アメリカにおける雇用の原則

アメリカでは、各州によって法律が異なるため、進出先の州における法律をしっかりと理解する必要があります。雇用において共通している概念として、法律は必ずしも労働者を守るものではなく、会社を守るものにもなりうるということを認識しておく必要があります。

 また、州によっては、労使間における互いの意志に基づく雇用が原則となっており、英語ではEmployment at Willといいます。これは、従業員側がいつでも事前の報告なしに雇用契約を解約できる反面、雇用主側でも正当な理由さえあればあらゆる人事権を発動でき、いつでも従業員を解雇することができることを表しています。ただし、どの州でも適用される法ではないため、ご注意ください。

雇用契約

アメリカにおいても労使間において雇用契約を締結しますが、その契約書に記載された事項は何よりも重視され、雇用者は契約期間や雇用形態などを保障しなければなりません。つまり、契約期間を定めた場合は、雇用者が期間中の雇用を保証することになり、その間は解雇することができなくなります。また、労働組合と契約を結んだ場合は、雇用者は従業員を自由に解雇することはできなくなります。

最低賃金

アメリカでは各州の法律において、最低賃金が定められており、雇用主は従業員に支払う時給について、この最低賃金を下回ることは許されていません。ただし、一部の例外があり、接客業などにおいて、一定額以上のチップを得る労働者に対しては、最低賃金が別途定められています。業種により異なる最低賃金が設定されているため、ご注意ください。

残業による割増賃金

アメリカでは週の所定労働時間は40時間と定められています。そのため、週40時間を超える残業については、通常の給料の150%を残業代として支給しなければなりません。ただし、日本のように18時間を超えたりとか、休日労働をしたからといって残業代を支払う必要はなく、あくまでも1週間における合計就労時間をもとに算定されることになります。

残業代の支給除外

アメリカでは、必ずしも残業代を支払わなければならないわけではなく、一定の者は法律により残業代の支給を免除されています。残業代を支払わなくてもいい相手として、一定レベル以上の重役、管理職や専門職、あるいは歩合制の販売員などが挙げられます。

まず、役員の場合は、基本給が一定額以上であり、ある一定のポジションについて2人以上の者を指揮命令下に置いていること、そして従業員の雇用や解雇の権限を有していることがその除外の条件に挙げられます。

次に、管理職の場合は、基本給または能力給が一定額以上あり、その主たる業務が雇用主や顧客管理、または一般業務に関連する事務または非肉体労働の遂行であること、そして主たる職務に重要な問題に関する自由裁量および独自の判断の行使が含まれる場合は、除外対象となります。

専門職の場合は、学職専門職と創造専門職とに分かれ、学職専門職については、基本給または能力給が一定額以上あり、主たる職務が知的な業務や自由裁量および独自の判断の行使を要するものを含む業務であること、そして高度な知識が科学分野または学職分野であり、長期課程の専門的知識教育によって取得されたものであることが条件に挙げられます。創造専門職については、基本給または能力給が一定額以上あり、主たる職務が芸術的または創作的な知的創造能力を要とする分野において、発明、創造、独創性、または才能を必要とする仕事である場合に、除外対象となります。

総年収が10万ドル以上の高報酬の従業員についても除外対象とされますが、ただし、上記の除外対象となっている役員、運営管理職、あるいは専門職のいずれか1つに従事している場合に限るとされています。

歩合制の販売員も除外されています。小売店やサービス業で就労する者で、通常の賃金が最低賃金の1.5倍を超え、かつ、全収入の半分以上を歩合制が占める者をいい、このような者も残業支払対象から除外されています。

社会保障番号(ソーシャルセキュリティーナンバー)とは

2015年に日本でもマイナンバー法が制定されましたが、米国でも同様の法律により、国民が9桁の個人情報番号で管理されています。これを社会保障番号としい、英語ではSocial Security Numberといい、SSNと称されています。米国市民や永住者だけでなく、外国人労働者に対しても、社会保障番号(SSN)を発行しなければなりません。もともとは米国の社会保障に加入した際に取得する番号でしたが、現在は納税者番号、身分登録番号としても使われており、米国で銀行口座を開設する際にも必要であり、あるいは運転免許証の取得に際しても必要となります。

米国駐在員は、社会保障局でSSNを申請しなければなりませんが、社会保障局は移民局の情報を使っているため、入国後すぐのタイミングであれば、まだシステムにデータが反映されておらず、しばらくの期間は待つ必要があるかも知れません。

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代表取締役 澤村義宣
アメリカで生まれ育ち、28歳のときに来日。飲食店のプロデュースを行いつつ自らも飲食店数店を経営している。

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税理士、公認会計士、社会保険労務士、司法書士によるワンストップサービスを行うガルベラ・パートナーズの代表

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